野平 美紗子(11回)
「私はデジカメを手に近所を散歩しながら俳句を作っています。」

※以前の作品はこちらから
 

 
   

淵の面(おも)辷るボートに桜かな

彼岸桜

桜が咲いた千鳥が淵に、足漕ぎボートが水面をすべるように動いていきました。

09/3/27

   

つくしんぼ飢えの世代の卵とじ

土筆(つくし)

戦後の食糧難のときに子供時代を送った飢えの世代にとって、土筆は卵を食べるチャンスだったようです。
摘んだ土筆で母親が作ってくれる卵とじは貴重なタンパク源でもあり、とても美味しかったということです。

09/3/23

   

青空に彼岸桜の華やげる

彼岸桜

お彼岸のお中日、とても良いお天気で近くの公園へ散歩しました。雲ひとつ無い真っ青な空に満開の彼岸桜が華やかに咲いていました。

09/3/20

   

行く雲やすこし紅なるゆすら花

山桜桃(ゆすらうめ)の花

庭に山桜花の白い花が咲きました。
夏になると真っ赤な小さな実となり、口に入れると甘酸っぱい味で、子供達も好んで口にしました。この実をひよどりもよく食べに来ます。実になるのが楽しみな山桜桃です。

09/3/19

   

白い手がおいでと招く花辛夷

辛夷(こぶし)の花

急激な温かさであっという間に辛夷が満開になりました。
花びらが白い手のように見える辛夷の花ですが、風に揺れると「おいでおいで」と私を招いているようでした。

09/3/19

   

近くとも遠くかげろふ新都心

新都心

東京集中の首都機能を分散するために作られたのが、さいたま市の「新都心」です。
我が家から4キロほどの近さにあり、官庁の高い建物やドコモタワーなどが見えますが、陽炎(かげろう)が立っているとなぜか遠く感じられます。近くの荒川の土手の上から撮りました。

09/3/18

   

行く人の目を楽します木瓜の花

木瓜(ぼけ)の花

私がいつも散歩する川の土手の外側斜面を利用して、その近くの方が咲かせていました。
道行く人がちょっと足を止めては鑑賞していきます。
早春のこの時期、花を見ると気持ちが和らぎます。

09/3/16

   

雪割草庭に咲かせてひとりなり

雪割草

独り住まいのご婦人の庭に咲いていました。
高山の岩場に生える桜草の一種とか。
雪を割って咲くことからこの名があるようです。
高山に行かなくても見られることに感激し、写させていただきました。
晴れるとパッと開くとのことですが、最近、曇りの日が多く残念でした。
でも可愛い花です。

09/3/16

   

啓蟄やジャノメエリカの目が揃ふ

ジャノメエリカ

この花の名は、おしべ(葯)の先が黒くて蛇の目に似て見えることから
名づけられたようです。
暖かくなって冬眠していた虫や蛙、蛇などが出てくる頃とされている
「啓蟄(けいちつ)」に、この花が咲いているのを目にしました。

09/3/16

   

例ふれば黄色の小人とさみづき

土佐水木(とさみづき)

もともとは土佐の国(高知県)に自生していたというこの木、
今はこの埼玉の地でも庭木として見られるようになりました。
花の様子をじっと見ていたら黄色い小人が枝にぶら下がっているようでした。

09/3/16

   

いみじくも残りてをりし花椿

椿

「椿」は「春の先触れの花」の意から作られた日本独自の漢字(国字)だそうです。
その華やかさは他に類を見ないと思います。
この花、咲いたままポトリと落ちやすいのですが、友人の庭に案内された時、
幸いまだ咲き残っていました。

09/3/16

   

沈丁のまず咲きてより庭らしく

沈丁花

我が庭に春を告げるのはこの花、沈丁花です。
俳句では短く、沈丁(ぢんちやう)とも言います。
色彩の無かった庭も、甘い香りとともにようやく
春の庭らしくなってきました。

09/3/16