野平 美紗子(11回)
「私はデジカメを手に近所を散歩しながら俳句を作っています。」

※以前の作品はこちらから
 

 

 
   

大空襲攻めくる空や寒夕焼

寒夕焼け

空気が澄んだ寒中の夕焼けは実に美しいものです。
毎夕、雨戸を閉めるときにしばらく見とれておりましたが、ある日ふっと脳裏を掠めたのが、この句にある「空襲」の記憶です。
西の空が真っ赤で、煙のような雲が浮かんでいました。何十年経っても、子供の頃の記憶はフラッシュバックしてくるようです。

10/1/15

   

筆先のようにも見えて冬木の芽

冬木の芽

近くの公園で見つけた木蓮の冬芽です。
大きいのが花芽で、ふわっとした毛で覆われています。小さいのが葉となる芽です。
冬空にこの筆でどんな文字が描かれるのでしょうか。 
これらの芽が膨らんでくるともう春は近いですね。

10/1/17

   

寒禽の水面見据えて身じろがず

白鷺(しらさぎ)

冬芽と同じ公園のせせらぎの脇にいた白鷺です。
この鳥は留鳥で、最近この辺りの水辺で餌を漁る姿をよく見かけるようになりました。
水がきれいになって自然が還ってきたようで、うれしく思っています。
(白鷺は夏の季語ですので、冬見かける野生の鳥を表す寒禽[かんきん]としました。)

10/1/17

   

寒紅梅今なほ古き門構へ

寒紅梅

寒中に他の梅に先駆けて咲きはじめる紅梅、色も香りもすてきです。
当地は古い農家がまだ散在している所です。
そんなお宅の門の外に咲いていました。

10/1/25

   

この黄色春のはじまる予感あり

黄水仙

黄色は暖かで明るい感じの色です。
いかにも春はもうそこまで、という気持ちにさせてくれます。
黄水仙の黄色にはそんな気持ちにさせてくれるものがあります。               

10/1/25

   

葉隠れに小鳥遊ばす紅椿

椿

椿は字のとおり春を告げる木です。
日本原産の花木で、日本では数少ない鳥媒花の一つとのこと。どうりで小鳥が中にもぐって鳴いていました。今は寒中なので、寒椿かと思ったら、本来3月頃に咲き始める”羽衣”というしゃれた名前をもつ椿でした。
温暖化のせいでしょうか、こんなに早く咲き始め、早くも春を目の辺りにしたような気持ちです。

10/1/27