第7回 鯖

鯖(サバ)はサンマと並んで秋には私達におなじみの魚です。
マサバは全長約50cmにも達し、やや紡すい形で、背部は青緑色で青黒色の波紋があり、腹部は銀白色です。まぎらわしいものにゴマサバがあります。マサバに比べ体が円形に近く腹部に小さな黒色の斑点が沢山あることからゴマサバと呼ばれ区別されています。マサバは産卵直後の夏には味が落ちますが、秋の今頃は充分に栄養を取って最高の旬です。
「サバの生き腐れ」といわれるように、内臓の酵素が強く、自己消化が急速に進みます。又、アミノ酸の一種ヒスチジンを分解してヒスタミンを生成するのでアレルギーを起こすことがあります。又アニサキス等の寄生虫を保有することがあるので加熱するか酢じめで調理されます。

ブランド魚としては大分県の関サバ、愛知県の岬サバがあります。近海のサバも結構です。鮮度の良し悪しを見極めて調理法を工夫しましょう。
船場汁
 
材料(6人分)
鯖(鮮度の良い)
・・・
1匹
・・・
大2
  大根
・・・
5cm
  ねぎ
・・・
2本
 
・・・
5C
昆布
・・・
10cm角
薄口醤油
・・・
少々
・・・
小1と1/2
生姜の絞り汁
・・・
小1/2
① 鯖は三枚におろし両面に塩をして笊に並べ、しばらく常温においてから、露受皿を下に置いて冷蔵庫に5・6時間おく。
② 取り出して水洗いし、骨を抜き、片身を3切れにする。
③ 大根は5mm厚さの短冊切り、固ゆでにする。
④ 鍋に水を入れ、昆布と②③を入れて火にかけ、煮立ったら昆布をひきアクを取り、中火弱にして醤油で味を調え生姜汁と酢を加える。
⑤ 椀に盛り、ねぎの小口切りをのせる。
 
 
※船場は長い歴史と伝統にはぐくまれた大阪の古い商いの場。 秀吉は大阪城築城に当たり、堺の商人たちを城下に移住させ大問屋街、船場を造りました。江戸幕府はこの地を直轄地にして、天下の台所の一つ、雑(ざ)喉場(こば)の魚市へは水運で全国から生魚や塩干魚が集められました。
塩鯖は鯖の道(小浜から京都)を経て淀川を下り運ばれたのでしょう。船場の大店では身を塩焼きやバッテラにして家人が食し、奉公人にはアラ(頭や中骨)と大根を煮た塩汁を食べさせました。この汁を船場汁といいます。
当時は粗食で一日一度の菜っ葉と二度の沢庵。たまに出る魚はイワシの塩干しくらい。
船場汁は質素な材料を工夫して作った経済料理でしたが、奉公人にとってはご馳走でした。
上方の惣菜として伝承された船場汁は、今、鮮度の良い鯖を塩じめにして仕立てた高級料理となっています。また、船場は時代とともに変貌しつつ、現在も商戦の場として繁栄しています。 ※船場は現在の阪神高速環状線に囲まれた北側3/4地域です。 ※語源についてはしばしば戦争のあった場所で「戦場」と呼ばれたとか、大阪城の馬を洗った場所で「洗場」と呼ばれたなどの説がありますが、古代は船着き場であって「着」の字を省いて「船場」となったという説が広く知られています。(牧村史陽氏)