第8回 普茶料理

江戸時代に隠元禅師によって開かれた京都の宇治にある黄檗山万福寺に伝わる料理です。来年(2011年)は開祖350年に当たるので、今年の10月から来年の9月迄、各地でいろいろな行事が行われるのだそうです。万福寺では 現在61代目の管長ですが23代目まで中国僧が管長でしたので、中国風の精進料理、普茶料理が供されています。

普茶とは広く大衆に茶を施すという意味です。動物性のものを使わず、山谷の自然の恵み葛粉や植物油を使って高タンパクで栄養バランスのとれた献立になっています。一卓を四人で囲んで大皿盛りの料理を各人の小皿に取り分けていただきます。料理は 梅干しの天ぷらやうなぎもどきなど、もどき料理も多く、他に私達が良く知っている麻腐と呼ばれる胡麻豆腐は有名です。
胡麻豆腐
作り方
材料(4人〜9人分)
当たり胡麻
・・・
50g
吉野本くず粉
・・・
70g
・・・
3C
・・・
小1弱
みりん
・・・
大1
割りじょうゆ    
薄口しょうゆ
・・・
大1
だし
・・・
大1
わさび
 
 
① 大きめの片手鍋に当たり胡麻を入れ、水を大さじ2杯入れて、しゃもじでよくかき混ぜると、白っぽいざらざらした状態になり、胡麻の香りが出る。
② ボウルにくず粉を入れ、分量の水で溶き、万能こしを通して①の鍋に徐々に入れて混ぜる。
③ 鍋を火にかけ、絶えずかき混ぜながら強火から中火、濃度がついてきたら弱火にして15分以上万遍なく練る。途中、塩とみりんを加える。(写真)
④ 流し缶に流し入れ、冷し固める。
⑤ すっかり固まったら、適当な大きさに切る。
 
 

※胡麻を収穫してから胡麻豆腐を作る迄の作業の中でも、特に胡麻をするのは大変でした。大すり鉢を囲んで弟子達は一生懸命すったのでしょう。師匠に認めてもらいたくて・・・。師匠に認めてもらうのは、ごまをするように大変だ。
「ごますり」の語源だそうです。

※胡麻は日本ではあまり良い意味に使われていませんので、国外に目を向けてみました。
「開けごま!」で知られている「アリババと40人の盗賊」の話が作られた時代、中近東地域では、ごまは油を搾るための重要な作物として貴重な財源=宝物でした。ごまは成熟後乾燥させると、種子の詰まったさやが割れ、中の種がはじき出ます。「イフタフ ヤー・シムシム」の呪文は「ぎっしり詰った大切な宝よ、早く出てこい!」という願いが込められているのでしょう。
「Open Sesame!」「開けごま!」と大きな声を出して胡麻を食べると心開かれ、元気になって開運まちがいなしです。