このお話は、時季のものを食べなさいという教えです。
現在、私たちの周りには季節はずれの食材も多く出回っていますので、旬の食材がわかりにくくなっています。今一度、旬について考えてみましょう。
日本は春・夏・秋・冬という四季がはっきりしており、その折々に取れる海、山、野の幸のことを旬の味といいます。特に静岡県は風光明媚で日本一温暖な所なので、一年中、旬の食材に恵まれています。海の幸といえば、西部では浜名湖、汽水湖なので350種ともいわれる魚類が生息しており、天候次第で湾内や外洋と、様々な魚が水揚げされます。中部では駿河湾、伊豆半島の海岸沿いの至る所で、その時季時季に特色のある魚貝類が豊富に出回ります。又、川は天竜川をはじめ各河川とその支流、名水で有名な柿田川など、川の幸が豊かです。山も又、牧之原や三方ヶ原大地など、田や畑でも多種多様な旬の食材があふれています。
旬とはその食材が一番おいしい時期で、更に栄養価も高くバランスも良く、その上、手頃な価格の時です。
この旬を分けると季節を先取りする「走り」と呼ぶものから、良く出回る出盛り期を「盛り」といい、やや盛りを過ぎた頃を「名残」と呼びます。出盛り期の旬は厳密には2週間といわれています。
又、品種で分けると「早生(わせ)」と呼ばれる早取りのものと成熟の遅い晩生のもので「奥手(おくて)」と呼ばれるものがあります。
私達はこの旬の食材を見極める「選食力」を養っておかなければなりません。それには外に出たら地域で今の何が取れているのか、露地のもの、ハウスのもの、又漁港では何が水揚げされているのか、興味を持って見たり聞いたり食べたりして鮮度を知る必要があります。
さて、今、地域で生産されたものを地域で消費する取り組みの「地産地消」が叫ばれており、各地でファーマーズ・マーケットが開かれています。浜松市では3店舗、年間利用者が100万人といわれています。更に、浜松市は日本第4位の農産物生産地で150種余りの作物が育成・出荷されています。果物も30~40種程度生産されています。このように私達は恵まれた地域で暮らしていますから、是非、旬の食材を食卓にのせるように努力したいと思います。