七夕の前日、兄は笹竹を取りに出かけ、父は短冊をつるす「こより」をより、母はお供えの西瓜や茄子、胡瓜、桃などの用意をします。姉達は二星にあやかって良いご縁に恵まれますようにとお花を生け、妹は琴の上達を願って琴を並べます。* 私は硯と筆と短冊の用意です。七日の朝になると母が「里芋の露を取っていらっしゃい。」と、毎年言うのです。そして、その露で墨をすりそれぞれが短冊に願い事を書く習わしになっていました。
その習慣は私が家庭を持ってからも続き、子ども達に同じように願い事を書かせました。次男は「弟が生まれますように」と書いてくれましたが、私にその計画がなかったので、気の毒なことをしてしまいました。子ども達の思いや気持ちが解って、昔の人は良い風習を残してくれたと思うのです。
さて、笹竹には一般的に手芸や裁縫の上達を願って五色の糸をかけたり、グッツを吊したり、金銀の星や色紙で美しい模様切りして飾ったりします。更に五色の短冊に詩や願い事を書いて吊します。昔は梶(かじ)の葉に和歌を七首書いたと記されています。
織女がはた織りだけでなく歌舞音曲や詩歌、書にも堪能であったことから織女にあやかろうと女性達の間で芸事の上達を願いました。又、二星の願いが叶えられる日にあやかって恋愛成就を願ったのです。
昔、七夕には七度食事を取り七度水浴びすると「祓え」になると言われました。平安時代、七つの供物として桃、梨、茄子、瓜、小豆、干鯛、干鮑を捧げました。室町時代、七つの遊び、歌、鞠、碁、花札、貝合、揚弓、香を競い楽しみました。現在、七夕祭りは家庭や幼稚園などで楽しみに行われています。
*兄はウクレレ、私はバイオリン、弟はタクト、父は琵琶、母は大正琴
又、市や商工会などで行われる七夕祭りで日本一といわれる“湘南ひらつか七夕まつり“は圧巻です。鮮やかな竹飾りがメインストリートを飾り、様々なイベントが開催されます。華やかな”七夕おどり千人パレード“も行われ、街中が七夕の熱気に包まれます。 |